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自民党の終焉 [海外メディア記事]

 日本の選挙結果を外国のメディアがどう伝えているかを紹介しようと思い、色々覗いてみたのですが、イギリスの『ガーディアン』紙の記事にしました。選択の理由は、この記事を書いたJustin McCurryという記者にあります。彼の書いた優れた記事をここで紹介したことがありますが(『消滅の危機に立つ日本の地方』http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-07-22)、こういう記事を書ける人ならば、今回の選挙結果についても独自の視点で書いてくれるだろう、と思ったからです。

 第一報なので総括的なことしか書かれていないように見えますが、それでも各方面への目配りがあって、日本への深い理解に裏打ちされた記事だと思います。これからも、Justin McCurry記者のことは注意してみたいと思います。


DPJ ends 54 years of almost unbroken conservative rule in Japan

Justin McCurry in Tokyo guardian.co.uk, Sunday 30 August 2009 19.47 BST

http://www.guardian.co.uk/world/2009/aug/30/dpj-wins-japan-election

Election-in-Japan-001.jpg

「 民主党が54年間日本でほとんど無敵を誇った保守政権を終焉させた
  

 日本の野党が、政権与党を圧倒し、半世紀以上にもわたってほとんど無敵を誇った保守政権の後をうけて政策上重大な変更を行ってくれるだろうという希望を抱かせながら、今日行われた総選挙で唖然とするほどの勝利を収めた。

 投票終了の数時間後には、日本の民主党は480議席ある衆議院で多数を得るために必要な241議席を超え、自民党を権力の座から引きづりおろした。

 テレビ主要各局は、民主党(大まかに言えば革新政党であるが、その内実は社会主義者から自民党の脱党者までも含む)が300以上の議席を確保するだろうと予測したが、それは民主党が選挙戦に突入したときの議席のほぼ3倍の数だった。

 次期首相の鳩山由紀夫は非自民党政権を率いることになるが、日本での非自民党政権は1993年以来のことであり、1955年以降では二度目である。

 東京で喜びに湧く党のメンバーに語りかけながら、彼は、民主党を権力の座へともたらした変化という言葉にこだわり続けた。「国民は今の政治と連立政権に怒っています」と彼は言った。「私たちは、国民が自分たちの生活に変化が起こるよう望んでいることを痛いほど感じました。だから私たちはこの選挙を政権交代を求めて闘ったのです」。

 退陣する首相の麻生太郎は、党の勢力が300議席から100議席強に減ってしまったこの悲惨な一夜の責任を取るために自民党総裁を辞任すると伝えた。

 「これらの結果はきわめて重大であります」と彼は言った。「わが党に対しては根深い不満があります」。自民党総裁の候補に挙げられた人の中には、鳩山の弟で、麻生内閣で元法務大臣だった鳩山邦夫が含まれていたが、それが実現すればひょっとしたら面白い展開になっていたかもしれない。

 有権者からの圧倒的な委任を確保した鳩山は、すぐに、マニフェストの約束を実現せよというプレッシャーのもとに立たされるだろう。彼が約束したのは、無駄な公共事業を削減し、エリート官僚による政策の締め付けに挑み、世界でも有数の高齢社会の一つとなったこの国で社会保障に重点を置いた予算を組むことなどである。


 しかし彼は、高等教育の無料化や月額2万6000円の児童手当といった提案の財源をどうするか何も示していないとして批判にさらされた。懐疑的な人は、鳩山が、日本の戦後の経済政策を仕切ってきた官僚たちから権力を奪取する能力があるかどうか疑問視している。
 
 もし鳩山が選挙の公約を推し進め、アフガニスタンでのアメリカ主導の軍隊を支える一環として燃料補給活動を停止する計画を含めて、アメリカの外交政策への「従属化」を終わらせるようなことをするならば、ワシントンと摩擦を起こす可能性もある。

 ニューヨーク・タイムズ紙のオピニオン欄で、彼は、イラク戦争の失敗とグローバル規模での金融危機が証明したのは「アメリカ主導のグローバリズムの時代が終わりを迎えつつある」ということであると述べた。

 しかしながら、アメリカは「これからの2~30年間、軍事と経済面で世界をリードする大国でありつづけるだろう」と彼はつけ加えていたし、二国間の絆に根本的な変化が起こるとは考えていない。日米同盟は「日本の外交政策の土台であり続ける」だろう、と彼は述べた。

 識者によると、この選挙結果は、保守党によって支配されてきた日本の政治的文化に根本的な変化が起きていることを告げるものである。

 「これは日本における戦後の政治体制の終わりと言っていいでしょう」。そう語るのは、日本に精通しているコロンビア大学のジェラルド・カーチス教授。「自民党以外の政党が衆議院で多数を勝ち取った空前の出来事です。長い一時代が終わり、別の時代が始まったことを告げる出来事ですが、その別の時代についてはまだ不安がたくさんありますね」。

 多くの不安は、民主党の財政支出の公約に集中しているが、それは日本が、莫大な借金を背負いながら、戦後もっとも深刻な不況から浮上しつつあるからである。

 マッコーリー・ グループのチーフ・エコノミストであるリチャード・ジャーラムは、鳩山の16.8兆円の財源計画は、日本の国家財政を阻害しその競争力を鈍化させてしまう「ほとんど社会主義的なアプローチ」と評した。

 「民主党の経済政策の核心は、できるだけ多くの有権者に訴えかける目的の、おとぎ話のロビン・フッド計画と言うべきものです」と彼は言う。

 日本の新聞の社説も、鳩山の最初の仕事は日本を持続的な経済の回復に向けて日本を舵取りすることだという点で一致している。

 「次期政権にわれわれがお願いしたいのは、いま同時に深刻化しつつある雇用不安とデフレに対する懸念に早急に対処することである」と日本経済新聞は書いた。


 麻生が、失言や優柔不断な振る舞いや高まる経済危機にとりつかれた首相在任の一年間を振り返っている間に、鳩山は自分の内閣のことを検討していたと伝えられる。

 次の政権は、民主党に両院での多数を与えるために、二つの小政党を含むだろうと予測されている。

 民主党の統治能力についての懸念が消え去らないにもかかわらず、民主党政権への異様な期待感は、有権者を政治に対する幻滅から脱却させたようだった。

 投票日の早い段階での想定でも、今回の投票率は前回2005年の選挙の67.5%を超えるだろうと思われていたが、70%を超えるかもしれないという望みは、接近する台風による強風と激しい雨によって打ち砕かれたようだ」。

 







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