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ファックス機が回りつづけるハイテク日本(2) [海外メディア記事]

 「ファックス機が回りつづけるハイテク日本」の二回目。

 最後まで読んでみると、これは、ファックスに題材を借りる形で高齢化や世代間格差の問題をそれとなく浮かび上がらせた記事であることが判ると思う。


In High-Tech Japan, the Fax Machines Roll On

By MARTIN FACKLER Published: February 13, 2013

http://www.nytimes.com/2013/02/14/world/asia/in-japan-the-fax-machine-is-anything-but-a-relic.html?pagewanted=2&_r=0&partner=rssnyt&emc=rss





 ファックス機が回りつづけるハイテク日本(2)


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10年前、玉子屋は弁当のオンライン販売にシフトしようとしたが、その事業は伸びなかった



 毎日、スガワラ氏は、お客を満足させ続けることをスタッフが忘れないようにと、ファックスで届く手書きのメッセージの一部を貼りつけておくことにしている。こうしたファックスの激励は、注文のわずか5%しかない同社のウェブサイトをモニターしているコンピュータのたった一人の担当従業員の近くの壁に貼られている。「手書きの注文を見ると、弁当の千年の歴史もお客さまとの個人的なつながりの上に築き上げられていることを思い出しますからね」とスガワラ氏は言った。


 手書きのメッセージは日本では長い間生活に欠かせないものだった。日本の書き言葉は、二種類のかな文字と中国から借用した2000もの漢字から成り立つとても複雑なものなので、1980年代にワープロが到来するまでキーボードは実用的とはならなかった。専門家によれば、だからファックスは、キーボードに不便さを感じる古い日本人にアピールし続けるのである。


 同時に、古い流儀にしがみついているために、日本は高いレベルの非効率を受け入れざるをえなくなるのだ。東京のウォール・ストリートに当たる日本橋にオフィスを構える中規模の銀行の百十四銀行では、中小企業の顧客のほとんどはいまだにファックスで銀行とやりとりをすることを好む。


 個人情報が盗まれるのではないかという顧客の懸念を和らげるために、銀行は慌ただしいオフィスの中央にあるテーブル全体を占領する形で高度なセキュリティー・システムを導入した。この装置には2フィートのポールが付いていて、その上部には送信エラーを警告する赤いライト載っている。ファックスが新しい番号のもとに送信されるたびに、二人の従業員が待機していなければならないのだが、一人は番号を控えるため、もう一人は番号が正しくダイアルされたかを確認するためなのである。

 
 「ファックスは長い歴史がありますから、ハッカーやウイルスが暗躍する世界ではファックスのほうが安全だと思えるのです」と、百十四銀行の副支店長であるヨシイ・キイチローは言った。


 ファックスに対する日本の愛着は1980年代の経済全盛期に始まり、その時からファックスは自動食器洗浄機よりも一般的な家電製品になった。日本はすぐに世界のファックスの生産でトップに立ち、ファックス・メーカーを含む業界団体である日本情報通信ネットワーク産業協会によると、これまで製造された数千万台の90パーセントは日本製なのだそうだ。


 しかし、まさにその成功のためにファックスはやめられない悪習にもなったのである。高齢化の動向も一役買ってきた。日本の栄光の年月を経験した世代がファックスにしがみついてきたからだ。実は、2009年まで家庭でのファックス機の数は右肩上がりの状態だったのだが、これは、新しいテクノロジーを受け入れる若者の数が減少していることを反映したものだ、と専門家は言う。


 「高齢化のために、日本は、依然として電子メールアドレスよりもファックス番号をもちたがる古い世代によって支配されたままなのです」と語るのは、コミュニケーション・グループの副社長であるミヤ・シゲユキ。


 ミヤ氏によれば、2009年は、スマートフォンとタブレット型コンピュータという二つのデバイスが導入されたために、ターニング・ポイントとなる年だったそうだ。専門家によれば、この二つのデバイスは、PCやキーボードには決してなかったほどの人気を日本人の若い層の間で博したのだそうだ。

 しかし、現在の日本は、ファックス世代とファックス以後の世代の世代間格差の高まりという新たな問題に直面している。NTTは、元来は手頃なファックス機の開発を支援した日本国内の巨大電話会社だが、今やその世代間のギャップを埋めようと試みているのだ。それが提供しているのは、古い日本人がファックスを使って子供や孫たちのスマートフォンにメッセージを送り、そこでそれが電子メールへの添付ファイルとして現れることを可能にするサービスだ。


 「私たちは最初からファックス派でしたからね」とNTTの役員であるシバタ氏は語った。「ファックスが進化し続けるのを私たちは望んでいるので、ファックスが消えることはないでしょうね」。



」(おわり)















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