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いま日本で脚光を浴びているもの [海外メディア記事]

 イギリスの『タイムズ』紙が「いま日本で脚光を浴びているもの」についての記事を出しました。外国のメディアがこういう報道をする場合、日本人にしてみれば、「けっ、何をいまさら」という反応しか引き出せない記事が多いように思うのですが、この記事に書かれていることの多くは、私にとっては初耳でした。確かに、野菜ソムリエなるものが誕生して、ソムリエの資格を得た芸能人が話題になったことくらいは知っていましたが、自家栽培の本が売れに売れているとか『私の保存食手帳』が売上No.1になった、なんてことは知りませんでしたね。  

 不況の影響があるにしても、地方の主たる産業が公共事業であるような土建屋の時代が終わりつつあるなか、やはり、農業や伝統的な食生活に新たな形で脚光が浴びるのは、もはや避けがたいトレンドであると思います。その一端の現象がここに表われているように感じられますね。


From The Times September 14, 2009  By Leo Lewis In Tokyo 

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/asia/article6833141.ece
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「 日本では不況のせいで青果物への関心が高まっている

 
 ソムリエは、集中して目を堅くつぶり、うっとりとした表情を顔一面に湛えながら、はじめはブラックベリーの香りを発しながら、ラズベリー系の香りと悪戯っぽくアプリコットを思わせる香りを漂わせる複雑なブーケのことで物思いに沈んでいるようだった。

 実は、彼女はフルーツの入った箱の香りをかいでいるのだ。
 
 しかし、ユーコにとって、フルーツの高度な鑑定能力は、生まれつき備わっていた技能ではない。彼女は、他に22,500人もいる日本人とともに、その能力をきめ細かく磨き上げてくれたテイスティング教育過程の修了生なのである。

 今彼女は、日本ベジタブル&フルーツマイスター協会――第二次世界大戦後最悪の不況のなかにあって活況を呈している数少ない職業団体のひとつ――の栄えある会員である。

 この協会――初心者が二ヶ月通う基礎的なコースでは約1000ポンド(=15万円)の費用がかかる――は、そこでのコースで学ぶことが野菜と果物の熱烈な愛好者にとってとても必要なのはなぜかを、次のように説明した。

 「こうした何の変哲もない野菜や果物の中に、無数の、想像もできない位の秘密と魅力が隠されているのです」と同協会のスポークスマンは語った。「けれども、野菜や果物は自分で語りかけることができません。だからベジタブル&フルーツマイスターという概念が導入されたのです」。

 コース修了生(その80パーセントは女性である)の大半は、レストランで自分の技能を発揮しているし、メニューの構成や素材の選択に関するコンサルタント業をフリーで行っている者も多い。コースには、野菜・果物の生産にかかわる実務の課程と、「ベジ・フル・コミュニケーション」の課程が含まれる。

 ソムリエ・コースの人気が沸騰したことは、日本人の間に「土壌の恵み」に対する関心がもっと広い範囲で爆発的に広まっていることの表われである。その関心は、日本の食料自給率が先進国で最低水準にあるというほろ苦い認識に裏打ちされたものでもある。

 日本最大の書店である丸善の販売スタッフに、フルーツや野菜の育て方を扱った最新の売れ筋は何かと尋ねたら、そのスタッフのまなざしは宙をさ迷った。それほど多くの本があるからである。

 そのスタッフによると、過去一年間、果物や野菜を食べたり育てたり、それらの真価を評価したりすることに対する日本人のこだわりは、手がつけられないほどの上昇ぶりだったという。毎週、このテーマを扱う新書が大体3冊は店頭に並び、だれ彼となく殺到するように買っていくので、すぐになくなってしまうのだという。
 
 小説、ビジネス本、漫画などがDIYの栽培ガイドに駆逐されていく中、「ジャガイモ栽培成功の秘訣」をうたう書物や「トマトマニア」などの本がかつてなかったほど広いスペースを占領し始めた。

 しかし、それらすべてを凌駕する一冊がある。家庭での漬物作りの決定版である『私の保存食手帳』がそれである。不況による節約生活が主たる原因であるのだろうが、この本は、約一ヶ月前、『ハリー・ポッターと死の秘宝』を抜いて全国の売上トップに輝いたのである」。

 






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