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ポジティヴ・シンキングは逆効果 [海外メディア記事]

 一頃やたらと「ポジティヴ・シンキング」なる言葉を目に(耳に)しましたが、こういう記事が出るということは、世界のどこでも似たような流行があったのでしょう。そして、おそらく少なからずの人が、そんな流行に懐疑的だったのだろうと思われます。そこでこういう実験が出てきたのでしょうが、この簡単な記事からでは良くわからないものの、この実験自体もポジティヴ・シンキングに劣らないくらい疑わしいのでは? と思いたくなるところもありますが、結論は誰もがうすうす感じていることではないでしょうか? ともかく、『シュピーゲル』誌の記事より。
 
06.07.2009

http://www.spiegel.de/wissenschaft/mensch/0,1518,634510,00.html



 「ポジティヴな思考で具合が悪くなる

 少しはポジティヴに考えたらどうなの! このおなじみのセリフは逆効果になることがあるということがアメリカの心理学者によって確かめられた。自己暗示は、本来は、際立った自己意識がない人に効くものだと思われていたが、そうした人はそこから得られるものはないし、むしろ逆の結果になることが判明した。

 自己暗示とは本当に驚くべき結果をもたらすはずのものである。「私は愛されるにふさわしい人間だ」という言葉に意識を集中しさえすれば、もう人生は成功ですよと、色んな指南書はそのように進言する。しかし、いわゆるポジティヴな思考は反生産的にもなりうる。本来、このテクニックで助かるはずの弱い自己意識しかもっていない人が、自分は愛されるにふさわしい人間だと繰り返し自分に言い聞かせても、何の足しにもならないのだという。

 それどころか、そういう人は自己暗示がない場合よりもかえって具合が悪くなることが、アメリカの心理学によって実証されたのである。むしろ、自分の非常に具体的な性質に集中して、一般的な命題ではなく、そうした具体的な性質を際立たせたほうが良い、とウォータールー大学のジョアンヌ・ウッドとその共同研究者たちは専門誌『サイコロジカル・サイエンス(Psychological Science)』で書いている。

 研究者たちは、その研究において、一連の指南書によれば自己意識を強化し人生に対するポジティヴな態度を促してくれる命題を分析している。そこから彼らは、「私は愛されるにふさわしい人間だ」という命題を選んだのだが、それは、自分自身を愛する能力が良好な自己意識の不可欠な部分だから、という理由だった。一連のテストで、彼らは、この命題が実験に参加したボランティアの気分と感情に影響を及ぼすか、及ぼすとしたらいかなる影響なのかを調べた。


 そのために彼らは、実験参加者を自己意識の大きな人々のグループと自己意識のあまり目立たない人々のグループに分けた。両方のグループには、その後いろいろな課題が与えられ、自分の考えていることや感じていることを書き記したり、質問に答えたり、様々な楽しい活動に参加したいと思うかどうかを述べたりしてもらった。被験者の一部には、15秒ごとにゴングを鳴らせて、その度ごとに「私は愛されるにふさわしい人間だ」という命題を自分に言い聞かせるようにしてもらった。

 実験の分析が示したことは、自己意識が目立たない参加者において、その命題を口にすることは、参加者の気分や楽観的見通しや、活動に積極的に参加したいという気持ちなどを、はっきりわかる形で悪化させた、ということであった。それに対して、良好な自己意識をもつ人々は、自己暗示によって得るものはあったにしても、その結果がはっきりわかるようなものではなかった。

 研究者はこの結果を次のように解釈している。おそらくこの命題は、どっちみち自分に疑念をもっていた人においては、この命題にまったく対応しない自分の行動の実例を記憶に呼び覚ましてしまったことでしょう。ですから、自分自身の行動と内的に求めようとしている基準との違いを際立たせ、「私は愛されるにふさわしい人間だが、自分でそうなりたいと思っているほど愛されるにふさわしいわけではない」と思わせるのでしょう。それに、人間は、たとえそれがネガティヴなものであっても、一度つくった自己イメージに固執する傾向がありますからね。そのために、無意識的に抵抗が起こるのです、と研究者たちは言う。


 研究者たちの総括によると、この実験結果は、自尊感情を最も必要としている人々は、こうした自己暗示のテクニックによって得られるものが最も少ない、ということを示しているそうである。自己暗示をするとしても、「私は気前のよい人間だ」といったひどく一般的な言い方をするよりは、「私は素敵な贈り物を見つけるのがとても上手い」といったように自分の性格に対応するような具体的な言明を用いるほうが建設的なのだという」。
 






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