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「動かぬ証拠」は見つからず [海外メディア記事]

 北朝鮮による核爆発の「動かぬ証拠」はついに見つからなかったようです。これが何を意味するか? どうも藪の中のようです。この記事は、表題とは別に、「爆発のミステリー」という別の見出しをもっているのですが、後者の見出しの方が、この一件についての今ひとつハッキリしない状況を語っているように思います。BBCの記事から。   

Susan Watts | 20:35 UK time, Wednesday, 10 June 2009

http://www.bbc.co.uk/blogs/newsnight/susanwatts/


「 北朝鮮からの希ガスはまったく検出されず
 
 ウィーンのホフブルク宮殿の大広間が、今朝、800人の科学者、外交官、ジャーナリストで一杯になり始めたとき、子供たちが一列になって壇上に進んだ。やや緊張した面持ちで各人がその国の衣装に身を包んだ子供たちは、世界平和についての感動的な歌を歌うことで、この核実験に関する科学者会議のオープニングを飾ったのであった。

 この会議の目指すところは、公式には、世界の至る所で生じる爆発を検知・理解して、その爆発やそのような爆発が核実験であるかもしれない可能性について、世界中の政治家に警告を発する上で科学がどれほど首尾よい成果をあげているかを報告することにある。

 そのツールは包括的核実験禁止条約(CTBT)を下から支えている科学者たちのネットワークであり、賛同者によれば、この条約こそ核実験のない世界を創造する上で、そしていつの日か、核兵器のない世界を創造する上で、鍵となる役割をはたすものなのである。

 しかし、この大広間に居たすべての者が知りたがっていたことが一つあった。それは、センサーのネットワークが二週間前の北朝鮮の爆発から放射性核種を検出したか、ということだった。出席していた地震学者によれば、あの爆発が核実験だったことは自信をもって言えるが、その「動かぬ証拠」となるのが放射性ガスという形で放射性核種の証拠を検出することである。そしてそこでのビッグニュースは、彼らがそのシグナルを見つけられなかった、ということだった。

 おまけに、科学者たちはその理由を本当に知って居るようには見えない。放射性核種検出の専門家であるスウェーデンの代表は、2006年の北朝鮮の核実験の後、センサーのネットワークがどれほど高い成果をあげたかを会議に向けて語った。あの出来事の12日後、ネットワークは、カナダでキセノン133という希ガスの原子を数百個検出した。彼は、今回は、今のところ、何も検出されていないことに「驚いている」と正直に認めた。彼は、センサーがしっかり作動していることは確信していると述べた。なぜシグナルがないのか? そしてそれは重要なことだろうか?

 コロンビア大学の著名な地震学者ポール・リチャーズ教授は、それは大して重要ではないと言いたいようだった。このネットワークは各種のテクノロジーを含んでいる――地震検知、インフラサウンド、水中音響、放射性核種のテクノロジーを使い、リチャーズ教授が「もろもろの矢からなる一つの振動」と呼ぶものを世界に発信する。もしある矢がターゲットに当たらなくても、別の矢が当たるだろう。つまり、もし一つの検出装置には核実験のシグナルが見えなくとも、別の装置には見えるだろう、ということである。そして彼の個人的見解は、今回の爆発が核実験であった可能性はきわめて高いというものである。

 だから、北朝鮮による爆発の封じ込めの慎重な試みがあったのではないか? それとも爆発は偶然封じ込められたのだろうか? 爆発力の大きい核爆発では、周辺の岩石が「溶けて」しまうことがしばしばあり、そうなると漏れ出る希ガスは少なくなる。希ガスのシグナルがないことを説明する試みは、目下のところ科学的な推量にとどまっている。この会議の表向きの声明では、だからこそ包括的核実験禁止条約が発効して、現地の調査チームが乗り込んでこのような実験をチェックできるように、より多くの国がこの条約を批准する必要性があるのだということになる。

 だが、この会議に出席している科学者たちで、何かがすぐ出てくることを祈っている者もいるかもしれないが、しかし彼らはすでに諦めていて、もう何も出てこないという可能性を受け入れているように思われる。

 ワシントンやその他の場所にいて、CTBTのような条約に何の価値も認めていない人々は、この事態を別のように、たとえば脆弱性の一例として見ているかもしれない。5月の爆発に由来する希ガスを検出する機会は閉ざされようとしている。もう一週間もすれば、手遅れになるだろう。放射性物質はあまりに広く拡散してしまうか、放射性という性質を失ってしまって、もう検出できなくなるからである。

 今朝歌った子供たちは、聴衆に「友達の輪」に加わるように誘ったが、聴衆の脳裏には、世界に平和をもたらしてくれる魔法の歌が浮かんだはずである。冷笑的になるのは簡単だろう。しかし、このモニタリングのネットワークを、たぶん楽観的にではあるが、「子供たちへの平和の約束」と捉えたオーストリアの外相は、お返しのメッセージを与えたのである。

 結局、この会議に出席した科学者たちによれば、かれらのゴールは、最良のデータを世界に与えることであり、政治家たちにどうすればいいかを決定させることである。少なくとも、北朝鮮によるこの第二回目の核爆発のデータは、同日にでも安全保障理事会が招集されることができるように、すぐに鍵を握っている人々のもとに届けられた。しかし、世界は、次に(もしあるとすれば)起こることを静観しているだけなのである」。






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