ル・ペン氏率いるフランスの極右政党「人民戦線」が、地方選挙用に反イスラムを前面に出したポスターを用いて話題を集めています。

これは、下のキャプションでも述べられているように、スイスでの国民投票に反イスラムのポスターが効果的だった前例に倣ったものですが(スイスのポスターについては既にここでも扱っています。http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-01-18)、はたしてスイスに続いてフランスでも宗教的・民族的不寛容が勢いづくのか、それとも寛容の精神がそれを阻止するのか、注目したいところです。

ちなみにこのポスターは、「イスラム教にノーを」という見出しの下に、ブルカを来た女性とフランスの国土が隣り合わせになっていて、フランスの国土がミナレットで引き裂かれアルジェリアのシンボルが現われ出る、という構図になっています。アルジェリアはフランスのかつての植民地。今は、そこからの移民の流入が頭痛の種になっているのでしょう。身から出た錆という気もするし、また、日本にもそれと似てないこともない問題が存在することも脳裏をよぎります。

ドイツ『シュピーゲル』誌のスライド・ショーより(http://www.spiegel.de/fotostrecke/fotostrecke-52334.html)。

1.「黒いブルカ、ロケットのように尖っている黒いミナレット(=モスクの尖塔): 現在の選挙戦で、極右の国民戦線はこのポスターで国のイスラム化に対する戦いを呼びかけている。似たようなポスターで宣伝をしたスイス人民党SVPがあおった怒りを、これで引き出そうとしている」。

 

2. 「ミナレット建設中止! スイスの右翼政党SVPは、この呼びかけで、ミナレット建設禁止を問う国民投票に打って出た。排外的な扇動と見るべきか、許容されるべき意見表明と見るべきか? 国民の意見は割れた。バーゼル、ローザンヌ、モントルーでは、このポスターの掲示は認められなかった」。

3. 「「イスラム教にノーを」とフランス版極右ポスターにはそうか書かれている。盗作か、それとも反イスラムを扇動する誰にでも思いつく構図にすぎないのか? 元々のポスターをデザインしたスイスの広告会社は、法的措置をとると発表した」。

4.「盗作騒動の背後には、国民戦線の青年組織が見え隠れしている。もちろん、彼らは責任などというものを一切拒絶するのである。「あのポスターは、隅から隅まで、われわれの協力者の一人であるプロのイラストレーターによってデザインされたものです」と、フランスの『リベラシオン』紙は、党の青年部のスポークスマンのダヴィッド・ラクリンの言葉を引用している」。