すこし古い記事ですが(2009年12月29日)、興味深いので紹介します。

 「巨匠のように描く少年」(http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2009/dec/29/boy-paints-like-old-master)と題された『ガーディアン』紙の記事が焦点を当てているのは、7歳のキーロン・ウィリアムソン。下の写真にみられるような本当の少年です。

 

 

 「今月、生まれ故郷のノーフォーク、ホルトの画廊で開かれたキーロンの二度目の個展は、14分で売り切れ。新たに売れた16枚の売上げで、彼の銀行口座は18,200ポンド(約273万円)だけ膨れ上がった。キーロンの原画の購入希望者のリストには、現在、680人の名前が載っている。芸術愛好家たちは、彼の作品を買おうとロンドンから車をとばして来たのだ。町のあちこちでエージェントが騒ぎ立てている。キーロンが使った教科書を買いたいと申し出る人がいた。いまキーロンがスケッチしているような簡単なパステル画が競売にかけられた時の開始の値段は900ポンド(約13万5000円)だった」。

 「いまキーロンがスケッチしているような簡単なパステル画」と記事で述べられているのは、多分次の雪景色の絵。記事で取り上げられている絵もあわせて見てみましょう。

 

 

 

  元電気技師の父親(いまは画商に転身した)と、栄養士になるために勉強中の母親と妹の4人で、ガソリンスタンドを見下ろす小さなアパートに暮らしているのだという。絵を描き始めた5歳の頃は、いかにも5歳の男の子が描くような絵しか描かなかったが、急速に進歩して、両親に答えられない質問をするほどの探究心に裏打ちされながら、技巧に磨きをかけていったのだとか。それが噂となって地元在住の画家の注目するところとなり、それからキーロンの才能がプロの画家たちの耳に入るのにさほどの時間はかからなかった。そしてついにピカソの再来と騒ぎ立てるマスコミの報道をきっかけとして、一躍有名になったのが、6歳の時であった。

 さて、本当に天才なのか、単なるマスコミのセンセーショナリズムの一例にすぎないのか、それは見る人が自由に判断すればいいと思いますが(ちなみに、私は後者だと思います)、こういう稀なことが過大に報道されるから、早期教育とか各種の習い事に躍起になるお母さん方とそれを食い物にする「・・・メソッド」みたいな商売が消えてなくならないのではとチラと思ったりします。まあ、それほど真面目に考えるようなことでもないのかもしれませんが、ずいぶん罪作りな報道かもしれませんね。




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