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自閉症からの回復を示す研究結果が出る [海外メディア記事]

 自閉症からの回復を示す研究結果が出たそうである。それを伝える『ニューヨーク・タイムズ』の記事を紹介する。

 記事の中でも触れられているが、1980年代の終りに「回復」の可能性を高確率で約束する治療法を提唱する研究者はいたが、多くの専門家はその「回復」に懐疑的だった。

 しかし、今回の研究結果はそうした懐疑論をある程度は黙らせる説得力があるらしいのだ。

 


Some With Autism Diagnosis Can Overcome Symptoms, Study Finds

By BENEDICT CAREY
Published: January 16, 2013

http://www.nytimes.com/2013/01/17/health/some-with-autism-diagnosis-can-recover-study-finds.html






 自閉症と診断されても症状を克服できる人がいることが研究で判明



 自閉症の障害は生涯続くものだと医師たちは長い間信じてきたが、新しい研究によると、この障害の典型的な症状を示す子供の中には完全に回復するものもいることが判明した。


 この研究は、オンラインで水曜日に『児童心理学および精神医学ジャーナル』誌に発表されたものだが(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jcpp.12037/abstract)、通常ではないそうした事例を調べた研究としては現在のところ最大の研究であり、自閉症についての科学者や親の考え方や語り方を変えてしまう可能性がある、と専門家は述べた。


 水曜日に研究者たちは偽りの希望を抱かないように警告を発した。研究結果が明らかにしているのは、いわゆる自閉症スペクトラムの中には、不明の理由、おそらく生物学的な理由で行動療法において大きな改善を示す子供たちのわずかだが有意のグループがあるが、しかしほとんどの子供はずっと小さな前進しか示さないということだからだ。医師たちは、どんな子供たちに改善がみられるかを予測する手立てはないとしている。


 研究者たちは、いったん自閉症と診断されながら数年以上たって自閉症とはもはや見なされない子供が1%から20%いることを以前から知っていた。彼らは、ほとんどの場合、診断が間違っていたのではないかと疑ってきた。自閉症の診断率は過去20年間で急増したが、自閉症という診断の適用がルーズだったのではないかと主張する研究もある。


 今回の新しい研究は、懐疑論をいくぶんかは静めるはずだ。

 「これは、回復の可能性の問題を扱った最初の確固とした科学的研究で、大きな意義をもつと私は思います」とカリフォルニア大学デービス校のマインド・インスティチュート(MIND Institute)のサリー・オゾノフ(Sally Ozonoff)は語った。彼女はこの研究に関与していない。「私たちの多くは、「回復」という言葉を使うくらいなら歯を引っこ抜かれた方がましだと思っていました、そんなことはとても非科学的だとね。今や「回復」という言葉を使えるのです。それは稀だということを強調する必要はあると思いますけれどね」。


 彼女も他の専門家も、この研究結果は早期の診断と治療の価値を強く支持していると語った。


 この研究で、コネチカット大学のデボラ・ファイン(Deborah Fein)率いるチームは、5歳になる前に自閉症と診断されたが、もういかなる症状もない34人を対象にした。彼らは8歳から21歳におよび、発達の初期段階で自閉症スペクトラムの平均より高い度合にあると診断された人々だった。チームは、現在の社会的スキルとコミュニケーション・スキルを測るために、ある場合には両親とのインタビューを含む、広範囲に及ぶ独自のテストを実施した。


 回復が可能かどうかをめぐる論争は、何十年にもわたってくすぶってきたが、先駆的な自閉症研究者であるO.アイヴァー・ロヴァース(O. Ivar Lovaas)が自身の考案した治療法を受けた子どもの47パーセントが完全な回復を示したと報告した1987年にピークに達した。この療法は、学んだスキルが増えるとちょとしたご褒美がもらえる行動的なアプローチだが、それは今日使用されている最も効果的なアプローチの基礎となっているものだ。ただし、多くは懐疑的だったし、ロヴァ―スの回復の定義を疑問視した。


 ファイン博士と彼女のチームは、標準的で、広く使用されている測定方法を用い、34人のかつて自閉症と診断された人々のグループと自閉症と診断されたことがない34人の対応対照者のグループを比較したが、両者の間にはいかなる違いも認められなかった。


 「彼らはもう自閉症とは診断できませんね」とファイン博士は言ったが、そのチームには、オンタリオ州キングストンのクイーンズ大学、フィラデルフィアのチルドレンズ・ホスピタル、ハートフォードのインスティチュート・オブ・リビング、ニューヨークのチャイルド・マインド・インスティチュートなどの研究者が含まれる。「私が親御さんに強調しておきたいのは、回復を示す子供は少数だということ、そして、もしこうした結果が得られなくとも、ボートに乗りそこなったと考えてはならないということです」。



 社会的スキルとコミュニケーション・スキルの測定結果で、回復したグループは、高機能自閉症またはアスペルガー症候群と診断された他の44人よりも有意なほどの高得点をあげた。


 ファイン博士は、行動療法の重要性を強調した。「回復した人々は成長して自然と自閉症から抜け出したわけではないのです」と彼女は言った。「私は40年間子どもの治療にあたってきましたが、セラピストと親が何年も努力をつぎ込まない限り、こうした改善が見られたことは一度もありませんでしたから」。


 チームは回復できる子供たちについてもっと知識を得るためにさらなる研究を計画している。どのような要因や治療法が最も有効なのかは誰も判っていないし、そうした成功を予測する行動パターンや生物学的指標があるのかどうかも誰一人判っていないからだ。


 「回復した子供たちの中には、大人になってからきわめて自立心が強い人になるが、かなりの不安や抑うつを抱え、しばしば自殺念慮を抱く人もいます」と語るのはイェール大学医学部の児童研究センターの所長であるフレッド・ヴォークマー(Fred Volkmar)博士。このグループについての研究はありませんね、と彼は言った。

 しかしこうした現状も、今回の新たな研究のおかげで、変わろうとしているのである。



」(おわり)

















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