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遺伝子組み換えにお墨付き [海外メディア記事]

少し前にイギリス政府が、イギリス学士院の報告書の発表を待って、遺伝子組み換え技術の方向に舵を切るだろうという記事をアップしましたが(http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-10-18)、その発表がなされたので、それを知らせるガーディアン紙の記事を紹介します。もっとも、この記事は、報告の内容と、それに対する反応を二三伝えるだけで、面白いものではありません。まあ、事前に予想されたとおりの運びなので、書く方も熱が入らないということもあるのでしょうけど。


GM research is needed urgently to avoid food crisis, says Royal Society
David Adam, environment correspondent The Guardian, Wednesday 21 October 2009

http://www.guardian.co.uk/environment/2009/oct/21/gm-research-food


食糧危機を回避するために、すぐにでも遺伝子組み換えの研究が必要と英国学士院の声明

 報告書によれば、人口が増加し地球温暖化が悪化するにつれて、より厳しくなる気候を作物が生き延びるのを遺伝組み換えの技術は手助けするだろうとのこと。


 遺伝子組み換え作物を開発する研究は、将来の食糧不足を回避するための20億ポンドの「大事業」の一部として進められなければならない。影響力のある科学者の委員会は昨日そのように述べた。その報告書の中で、英国学士院は、地球の人口が増加し地球温暖化が悪化するにつれて、より厳しくなる気候を作物が生き延びるのを手助けし収穫量を増やすためにも、遺伝子組み換え(=GM)の技術は必要とされるだろうと述べた。


 しかし報告書は、GMが唯一の答えではなく、灌漑の改良のような、作物管理を向上させる措置も必要であると述べた。


 この研究の主任であるケンブリッジ大学の植物学の科学者デイヴィッド・ボールコーム(David Baulcombe)教授は次のように述べた。「われわれは今、食糧不足を回避するための行動を取る必要がある。もう5年から10年も何もせずに待っているだけならば、手遅れになるかもしれない。生物学はこの10年間で急速に進歩を遂げ、英国の科学者は、食用作物に関連するテーマに関しては、先頭を走ってきた。英国の科学者には、増大する世界の人々に食糧を行き渡らせるための実現可能な科学技術を見いだすポテンシャルがあり、そのポテンシャルを実現する責任がある。このことを確実に実現させるためには、政策的措置が取られ科学に公的資金を投入する必要があることは明らかである」。

 英国学士院は、政府がイギリスにおける農業関連の研究の退潮傾向を反転させ、今後10年間にわたって毎年少なくとも2億ポンドを、収穫量と持続可能な作物管理を改善する科学的研究に費やすべきだと述べた。


 報告書は、世界中の人々の食生活が変化し、気候変動や水と土地の不足の拡大がもたらしうるインパクトのために、今世紀中ごろにまでに全地球で30億人増加すると見込まれている世界の人口に見合うだけの食糧増産が難しくなっていると述べた。


報告書の発表と同時に、政府の主席科学アドバイザーのジョン・ベディントンは、増大する世界の人口に食糧を行き渡らせるためには「幅広い解決策」が必要となるだろうと述べた。


 ボールコームはつぎのように付け加えた。「グローバルな食糧安全保障を確保するための万能薬はありません。今後40年間世界の全人口に食糧を行き渡らせるそれなりの見込みをもちたいのであれば、社会科学や経済的なインノベーションと並んで導入される科学に基づくアプローチが必要不可欠となります。英国の農場で上手くいくテクノロジーは、アフリカの作物にもほとんどインパクトはないでしょう。これから研究は、さまざまな種類の作物、地域、文化、それ以外の多くの状況などを考慮に入れなければならないでしょう」。



 遺伝子組み換えに反対する運動団体は、この報告書が「開発のための農業科学・技術国際アセスメント(International Assessment of Agricultural Science and Technology for Development (IAASTD))」が昨年出した将来の食糧生産に関する別の報告書と食い違っているといって批判した。後者の報告書は、広範囲に広がる貧困層に対して食糧を行き渡らせるうえで、現在行われているような遺伝子組み換え技術の役割はほとんどないと述べていたからである。



 「地球の友(Friends of the Earth)」のキルタナ・チャンドラセカラン(Kirtana Chandrasekaran)は次のように述べた。「科学は、飢餓や貧困を減らす上で果たすべき重要な役割をもっているが、この報告書が遺伝子組み換え作物に焦点を当てていることは、この技術が役に立っていないという証拠がますます積み上がっている事実を無視するものです。遺伝子組み換え作物とは、もうすでに野生生物を一掃し、伝統的共同体を破壊し気候変動を悪化させている大企業の工業化された農業の延長線上にあるものです。グローバルな食料危機と闘ういかなる試みも、工業化された家畜生産とか収穫量の増大しか見ようとしない視野狭窄のような、大元の原因を問いかけなければならないのです」。


 「食糧倫理協議会(Food Ethics Council)」の事務局長トム・マクミランは次のように言った。「彼らは、もう20億ポンドも科学のほうによこせといって、先走りすぎましたね。これこそより広範囲の議論が必要な決定です。収量を上げたところで、それが食糧の安全保障に違いを及ぼすかどうかを決めるのは社会手系・経済的問題なので、そちらの方にそのお金を使ったほうがましでしょう」。


 遺伝子組み換え作物の企業を代表する「アグリ・バイオテクノロジー協議会(Agricultural Biotechnology Council)」の会長ジュリアン・リトルは、次のように述べた。「農民たちには、もっと持続可能な仕方でより多くの食糧を生産する助けととなる(安全性が証明された」)ツールをすべて使えるようにしてやらなければなりません。その中には、当然、バイオテクノロジーや遺伝子組み換えの方法を使った高度な育種法も含まれます。この方法は、すでに世界中の1300万の農場主によって使われていて、悪影響を与える害虫や病気や旱魃といった作物生産にとって大きな脅威となるものを緩和しながら、より多くの、そしてより信頼できる作物の収穫をあげる一助となっているのです」」。
 





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